聴く力

阿川佐和子さんの「聞く力」はベストセラーになったので、多くの人は読まれたことと思う。敢えて「聴く力」について書こうと考えたのも、傾聴するということが如何に大切かと思ったからである。他人の言に耳を傾けない人は多い。私も家で聞き流すことが多いので、妻からいつも厳しく指摘されることがある。テレビでは黒柳徹子さんや阿川佐和子さんの番組を見てきたが、「能ある鷹は爪隠す」というように人間的に賢い人ほど爪を隠しているようである。


残念に思うのは、人の話しに耳を傾けない人は習慣になってしまって、直そうという素直さも持っていないことである。人に対する感謝の念を抱いている人はどんな人の意見でも聞こうという謙虚な姿勢を有している。子ども時代に他人から可愛がられた人は、年少でも大人の話にきちんと耳を傾けていたからであろう。成人してからでは聴く力を養うのはその人の性格もあり難しい。企業社会になると聴く力のない人は人の上に立てないと思う。


我が家でも辛辣な妻の指摘があるので、なるべく言われたことを反芻するようにしているが、この歳になると中々長年の習慣は直らない。妻の才能も外で発揮されると役に立つと思うのだが、内弁慶で終わってしまっているので、そうなったのも私の亭主としての至らなさなのかもしれない。我が家はいつも夫婦二人で1.5人前だと話しているが、何とか二人の娘も自立したので周囲の人からの支えも多分あったのだろう。聴くことで人間はまともな大人になると思うので、これからの人にはその習慣を身につけてほしい。