内観法

先日の新聞に、教育格差は止むを得ないとする世論が過半数を超えたとの記事を見かけました。所得格差を教育格差まで影響を与えないことが、これまでの日本の良さでもありました。所得格差は教育格差を生み、教育格差は社会的格差を生み、引いては精神疾病や犯罪の増加にも繋がると思います。本日は、ラジオ深夜便に登場なさった内観法の創始者である吉本伊信という方のことをご紹介します。(Wikipedia参照)


精神医学や心身医学にも応用されている精神療法に内観法と呼ばれる矯正方法があります。創始者は吉本伊信という方です。内観法は集中内観と日常内観の2つの段階に分けられます。集中内観は研修所や病院などの静かな部屋に1週間こもり、外界とのやり取りを制限し、自分とのかかわりの深い他者(特に母親が重視される)に対して自分がどうであったかを、次の3つの観点から調べるものです。


1.してもらったこと
2.して返したこと
3.迷惑掛けたこと


この3つの観点を「内観3項目」といいます。1時間から2時間に一度、内観者(クライエント)のもとに面接者(セラピスト)が訪れ、面接を行うのです。内観者はその時間に調べた内容を懺悔告白し、面接者はその内容を傾聴します。自分の心を直接掘り下げるのではなく、他者をいわば鏡として外から自分を客観視する点が特徴です。一週間の集中内観により、しばしば劇的な人生観、世界観の転換が起こり、心身の疾患が治癒することが多いと言われています。


日常内観は、集中内観で会得した反省の技術を生かし、日常生活の中で毎日、一定時間、内観3項目を通して自分を調べます。内観は、1960年ごろには有力な矯正手法として全国各地の矯正施設で採用されています。死刑囚ややくざの親分が改心するなど、大きな効果を上げてマスメディアでも取り上げられたようです。


人は、社会に対する憎しみや人に対する妬みがなかなか消えないこともあります。しかし、母親に世話をしてもらったこと、食事でしてもらったことを、母からの立場で考えると、母親の愛情が憎しみも溶かすようです。人間の本質に迫り、深い反省をして仏に変わることで、周りの人のために何をするかを考えます。


内観は人生のたな卸しをすることであり、不平不満を文字に書いては捨てて、幸せだけを増幅させる装置だと言われています。憎しみなども、すべては受け止め方次第で、この世に生かされてきた有り難さを、内観によって心の底から感じさせようとするものです。


このような内観療法精神疾患の治療において広く社会に普及することを望みます。