日新除魔

わがパソコンの漢字変換の低能力には困ってしまうが、付属の辞書や検索機能はやはりまともな気がする。表題の「日新除魔」は葛飾北斎が晩年に毎日、魔よけのために獅子の絵を描いた画帖のことをいうが、お蔭で画狂人北斎も89歳まで長生きしたようである。しかも晩年に描いた残した200枚以上の絵が生涯で一番作品として冴えていたらしい。


つまり、人間の人生も新年が明けることにより、また新鮮な面持ちでいい一年を送ろうと神仏に感謝を込めることが大事だというのである。もし大晦日や元旦という行事がなければ、単なるいつもの連休に過ぎないので特別な感傷に浸ることもないが、年号や十二支が替わることで人間の心理状態も微妙に変化するから情緒があるのだろう。


伊勢神宮飛鳥時代から1300年もしきたりが続いているが、今年は20年に一度の式年遷宮に当たり建て替えた新しい社に神様を移す行事が本年10月に執り行われる。飛鳥時代は毎年、社を建て替えられていたらしいが、木材を大量に使うため近隣の森林を守るために20年に一度へ変更されたようである。


それよりも驚いたのは一年365日の毎日、何人かの神職が食事を神様のいる社へ運んでいる光景をみて、変わらぬしきたりのもとで勤めを果たすことの大切さを学んだ気がする。どこの神社仏閣でも年間を通じてさまざまな行事が執り行われるが、日本の歴史に根ざした固有の文化は語り継がれていくべき貴重なものである。