世襲議員について一言

武家社会における将軍や大名の世襲制は政治を安定させる上で必要かと思われるが、廃藩置県が実施された明治政府でも大名が武家政治を踏襲して政治を世襲することはなかった。しかし、終戦後の日本国憲法の新しい選挙制度の下で行われた衆参両議院の議員選挙は、各地方の有力者が「地盤・看板・カバン」と呼ばれる世襲制と後援会という組織が手を組んで議員を輩出してきた。


議員の世襲が良くないという理由は、「地盤・看板・カバン」という強固な組織が、もっと能力のある人の登場を阻むからである。決して、現在、国会で活動している世襲議員は能力がないというわけではないが、以前から日本の政治は二流といわれてきた原因の一つに世襲があることは否定できない。理由は、苦労して1人で立ち上がってこなければ大きな仕事を期待することはできないからである。企業社会においても同様のことが言える。


民主党マニフェストに掲げようとしている議員の世襲禁止は、日本の国政のレベルを上げるためにも真面目に考えるべき課題だと思う。選挙がもっと国民各層にオープンになり、有能な人材が政治家に選ばれることが必要である。少なくとも世襲が続くことに対して、何らかの歯止めをかけてもっと能力のある人を発掘する選挙づくりを目指さなければならないと考える。国会議員の大多数が世襲というのはどうみてもおかしいし、民主主義とはいえない気がする。