米大統領選挙が語るもの

全世界が注目した米大統領選挙が終了した。大接戦の末、現職のオバマ大統領が再選されたが、これほど盛り上がる選挙は世界をリードする米国の大統領選挙だからであろう。隣国中国でも本日より新指導部を決める党大会が1週間の日程で開催される。米大統領が2期8年目の施政となり、隣国中国は10年の長期政権の始まりでもある。両国とも世界の注目に値する指導者の交代であるが、それに比してわが国の政権はたらい回しばかりで、世界の注目からは程遠い。これでは諸外国からの日本政権への信頼も低下し、対等で明確な外交交渉もできないだろう。


根本的に選挙制度を変えたほうがいいと思うが、永田町ではそのような問題意識は無く、与野党共に我田引水ばかりの状態である。国論を二分するような重要政策の取り決めにおいては、日本のような短命政権ではポピュリズム政治に陥りかねない。国政選挙がわが国のように2週間足らずで決まってしまうと、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」政権が誕生しやすいのである。国民が選んだ政権だから仕方がないのであるが、これまでの総選挙の投票率を考えても、民意の反映とは必ずしも言えないようである。


願わくば、米国のように1年くらいかけて地域代表を選び、最終的に本丸の代表同士を国民が選ぶようにならないものだろうかと考える。国民の不満と無関心の最大の原因は、一国の代表が永田町の密室で国民不在のままに決まり、指導力も未知数の政権が自動歩きするからだと思う。解散総選挙が近づくたびに新勢力や新政党が誕生してばかりでは、国民の政治への不満は続き、どの政権になっても解消することにはならないだろう。戦後65年の日本も、そろそろ選挙制度を抜本的に練り直して、グローバル社会に対応できる安定した政治を司ってほしい。