中国リスクの変化

劇的な日中国交正常化から40年、日本企業は中国の巨大マーケットの将来的な拡大をねらって投資してきた。わがITソフトウェア業界も、日本の製造業と同様に開発費を抑えるために安価労働力を求めて、大手を先頭に中国へ積極的に進出してきた。まさに日本の80年代のバブル経済に乗った状況の如く、成長著しい大量の中国技術者に開発を依存してきた。


確かに国内での開発に比べて、大幅なコストダウンを図るには避けて通れなかった道だったのかもしれないが、逆に日本国内が失ったものも多い。今や汎用製品で中国、韓国に価格面で競争に勝てなくなったのも、その一因はモノ創りの海外流出を拡大してきたからであろう。汎用品で戦う家電業界が窮地に陥ったのも、当然といえば当然の帰結のような気がする。


領土問題が浮上してきたのも、中国、韓国が日本との競争力に自信をつけてきたからであろう。今後、益々日本に対する中韓の攻勢は、政治的にも経済的にも強くなるだろうと予想したほうがいい。もう製造コストが安いからという理由だけで、日本が両国を活用する時代は終焉しつつあると考えたほうがいいだろう。おそらくライバルになりうる市場の強敵だと、これからは認識しなければならないだろう。


政治関係がゴタゴタで長期的に経済関係が安定してきたのは、両国が成長路線を走ってきた今までだけで、これからは政治的に信頼関係が維持されなければ、経済的にはいつ何時も大きなリスクが到来しかねないと覚悟したほうがいい。従来言われてきた中国リスクは、時代とともに変化して新たなリスクとして形を変えて発生するものと思われる。