ダイバーシティの推進

もう随分前の話になるが、ネットバブル崩壊後に大企業がこぞって新規学卒者の採用を絞った時期に思い切って賭けに出たことがある。中小企業として、長年、人材確保には苦汁を経験してきたので、不景気な時期こそ優秀な人材確保のチャンスだと考えていた。1年後の景気浮上に備えて大量採用に踏み切ったのである。(結果的には景気予想が後にずれ込み外れたのだが・・・)


同業他社も大企業に足並みをそろえて採用を自粛していたところが大多数であったが、他社とは逆発想で絶好のチャンスの時期と捉えたわけである。おかげさまで、男子学生とともに優秀な女子大生も積極的に多数採用した。時期が良かったといえば良かったかもしれないが、当時の経済の状況は、大企業がコスト削減に動いていた時期でもあり、かなり市場環境も厳しかった。


当時はまだ男性優位社会で、女性を採用しても長続きしないと同業他社では噂していた時期でもあった。私は敢えて優秀な女子社員を男性チームに散らばせて活性化を目指した。しかし結局は、その後の景気回復で別業界へ転職したり、派遣先の顧客社員と縁ができたり、地方の実家へUターンしたりと残った女子社員は少なかったが、いずれ女性活用が重要視される時代が到来すると読んでいた。


ヒントはやはり家庭にあったように思う。一時、会社が不景気で事務職員を雇えなかった時、営業に専念するために、役員の奥さんの力を借りて会社の守備をお願いしたことがある。その時に女性の能力は仕事で生かせないともったいないと思ったのである。しかし元々が専業主婦なので、いつまでも会社に縛っておくわけにも行かなかった。


前置が長くなったが言いたいことは、世の中には優秀な女性が大勢いるので、日本として生かさなければ経済的に大変損だということである。おかげさまで時代の変化もあり、女性が大いに活躍する舞台が増えてきた。建設関係の社員もこれまでは男性中心だが、女性を活用しないと人材不足に対応できないと思う。


少子高齢化の時代に女性の力を生かさないと、今の経済水準を維持することは不可能である。さらに、外国人の雇用も中小企業にとって重要となってくるであろう。日本はまだまだ社会的コストにロスが多い。女性のように極め細やかな考え方を政治や経済の世界に取り入れないと、これからの日本は世界的にも優位にならないだろう。