しきたり

月日は百代の過客なり、と松尾芭蕉が「奥の細道」で歌っているが、故郷へ行くと「しきたり」というものに迷うことがしばしばである。この彼岸中にもお寺にお布施をいくらするか、親類縁者のご仏前にいくらするか自己判断せざるを得ないので、地方の相場がどのくらいなのか、故郷に身内が住んでいないと、いつも帰省するたびに迷ってばかりである。


都会に住んでいると地方のしきたりに振り回されることのないが、地方では親戚縁者の付き合いだけでも大変である。今では地方の小さな集落では、お互いにお悔やみ等で困らないよう相場を表示して目安を教えているらしい。我が故郷も空き家になってから、郷土の人と同様のお付き合いを継続できていないが、しきたりだけでも田舎暮らしは大変である。