莫妄想

人間誰しも現実からかけ離れた空想や夢想をしたり、考えても仕方のないことをあれこれ思い悩むことを妄想と言います。そういう環境を与える周りも相手も問題ですが、対象となる人はなかなか言動が変わりません。唐代の無業禅師は肉体や心の欲望、未来への不安や過去への執着など、心を曇らせる原因となる妄想をするなと諭したとされています。


とは言っても、心配事で夜も眠れず不眠症になることもあります。大抵、夜中に切羽詰って思い悩んだことは起床すればそれほど難しくなかったり、それほど優先度がなかったりします。現実からかけ離れるとどうしても不安になってしまうのだと思います。その時は今できることに集中し、済んでしまったことは忘れるようにすることです。


禅の教えも、よりよい未来をつくるのは今の努力しかありえないといいます。前向きに一歩一歩前進していけば必ず経験によって自信や喜びが得られます。自分のことを常にほめるべきだと思います。人間は生き物ですから体調の優れないときもあります。生きていることの価値は日々の生活で物事に集中することによって得られます。


くよくよ考えないで過去を忘れ去ることにより、新しい出会いや喜びに接することができます。人間の寿命などあっという間です。後ろ向きに悩んでも物事は解決するものではありませんから、地道に前を向いて日々一生懸命に歩んでいくしかゴールに近づくことはできません。