人物評価は後に下る

時の政権に対するマスコミの酷評は昔から変わらないが、歴代の総理への人物評価も後の世によって判断が別れるのが普通である。一昨日、中国歴訪の野田首相の行動を「政治主導」だと評していた新聞もあったようである。確かに最近の自民党首脳の対中国外交は双方の緊張情勢を生むばかりでうまく機能していなかった。


翻って、民主党政権になってからは親中国寄りの姿勢が明確になった印象もあり、隣国との関係で緊張緩和を促進する上で、今回の首脳外交も非常に重要だと考えられるし、有意義なタイミングでの訪問であったと思う。しかし、一方では日米安保に不安感を抱かせるような首相の言動があったり、差し引きするとプラス評価は難しいというのが現状であろう。


1972年の田中・周恩来両首脳による日中共同声明の調印がなされて40年になるが、中国は30年間にわたり高度経済成長を続いており、今や世界第2位の経済大国として大躍進を果たしている。一方、20年間も成長が停滞し続けているわが国にとって隣国中国との経済交流は切っても切れない関係であることは論を俟たない。


野田政権にとっては、歴代の民主党政権が積み残してきた課題と、直近で迫りくる問題山積に対して現政権の心境が右往左往の状況に国民の目には映る。政治家全体がこの非常事態を何とかしなければと思うならば、党派を超えて法案の成立に尽力すべきだと考えるのである。補足事項や疑問点があれば後で変更すればいい。


不景気の中で血税を強いられている国民に対して、永田町の議員たちは庶民と同じ目線で理解を得るべく、説明責任を果たすことが必要である。税収42兆円、国債44兆円を合わせて90兆円前後にも上る国家予算が景気浮揚に如何にして繋がるかどうかが注目である。あの時の政治判断は間違っていなかったと評価されるよう期待したい。