少欲知足

越後の禅僧・良寛は生涯お寺を持たず、粗末な庵で暮らしたと言われています。良寛は仏教の理想である「少欲知足」を実践した人ですが、現世には欲望の原動力を乗って歯止めが利かなくなり、突っ走って自滅する人は多いようです。


かつての中曽根政権時代に、第二臨調会長として行政改革に切り込んだ土光敏夫氏を昔から崇拝していますが、自らは倹約に努め質素な生活を実践しつつも、行財政改革に大ナタを振るって歴代の政治が不可能であった大改革を実現された方ですが、土光さんの後姿も良寛の精神に共通するように思えます。


めざしの出る土光家の質素な夕食はマスコミでも特に有名ですが、自らは節して贅沢はしないという姿勢は人間として見習うべきかと思います。世の中には金銭感覚がずれた経営者も少なくありません。大体、親の七光りで今日まで生きてきた方に多いような気も致しますが・・・。


「鉄は熱いうちに打て」と言いますように、人間は若いうちに多くの失敗などで苦労をしなければ、まともな人格は備わらないと思うのです。経済的に裕福な親は、子どもに小さいときから豊かな環境を与えて、贅沢というものを経験させますので、それが当たり前だという感覚を植えつけてしまいます。


俗に「親ばか」だと称していますが、仏教の精神である「少欲知足」を子どもの頃から教えるような親が増えていかなければ、決していい社会や人心の痛みのわかる世の中にはならないと思われます。