ユーロ問題

2002年、欧州に導入されたユーロは当初、経済圏として世界的にも強固な体制に導かれるだろうと予想していたが、スタートから10年目にして綻びを見せ始めているようである。共通通貨は流通に便利な反面経済格差を生みかねないという懸念があったはずである。


本来、イギリスまで加入しなければ統一通貨と言えないと考えていたが、おそらく現在のような窮地に陥る可能性もありえることを英国エコノミストあたりは予測していたと思われる。したたかと言えばしたたかだが、金融立国として繁栄してきたイギリスには当初からメリットが感じられなかったのだろう。


犠牲的精神で人がいいと言うと失礼であるが、第2次大戦の敗戦国ドイツは技術製品輸出国でもあり欧州諸国との付き合い上、どうしてもユーロ加盟を拒否できなかったのであろう。


おそらく遠くない時期に国民世論の反対でドイツはユーロ加盟から脱退に踏み切らざるを得なくなるかもしれない。ユーロ共通債を強行に発行しようと言う集団が大勢を占めた場合、ドイツは脱退に進路を変えると思われる。


財政問題は各々の国の問題であるのに、健全な国が一方的に犠牲になって救済することになると、債務国の自立が危ぶまれるのではないだろうか。財政危機を招いたのは自国の責任だから、それをユーロ加盟国で救済しようとすると収拾が付かなくなる可能性がある。


もしドイツが脱退したならば、ユーロは事実上運営できなくなる可能性を秘めていると思う。地中海沿岸諸国の財政危機は遠からずドイツやフランスにも飛び火し、世界中に金融不安を招きかねないと思われる。


世界的な諸問題が多い中、欧州の金融危機は世界的にも厄介な出来事である。