ショック

日本国憲法第25条で「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されていることは小学校時代から習って知っており、昔から日本はいい国と子どもながらに感じていた。ところが最近の調査によると、生活保護者が205万人になったとのことである。一般に動揺があまり無いが、日本人60人に1人が生活保護を受けているということで私自身は驚きとしか言えない印象である。


中学校の教頭をしている私の友人から、中学校のクラスでも生活保護を受けている家庭が多いということを以前聞いたことがある。たまたま偏った学校の話だろうとその時は聞き流していたが、最近になって実際の統計数字を聞いてショックとしか言えない思いである。友人の話によると、小学校などでは給食費も払わないのが当たり前のように思っている父兄も多いと言っていた。


修学旅行なども授業の一環なので、生活保護を受けている家庭であれば公費負担となるので、敢えて払わない家庭もあるという。人のフンドシで相撲を取るのも当たり前という感覚がどこかにあるのではないのだろうか。そんな家庭の親の後姿を見て、子どもがまともに成長するとは思えない気がする。


私たちの小学生の頃は、中には親が給食代を払えない家庭もあったが、給食時間になると子どもたちは外で遊んでいた。可愛そうな家庭の子どもだなあと思っていたが、子どもなりに親が給食代を払っていないので学校の給食は食べられないと自覚していたのである。


修学旅行でも家庭が貧乏なところの子どもたちは、目立たないがこっそり旅行に参加しないで我慢していたと思う。親がそのように子どもを躾けていたし、子どもも自分の家が貧乏であることをわかっていたので無理を言わなかったのである。


60年代には高度経済成長で国民の間にも中流家庭が増加してきたが、近年は日本が豊かになってきたとはいえ、様々な面での格差が開いてきたように感じる。生活保護受給者205万人という異常なまでのこの実態に我々はもっと眼を向けるべきではないだろうか。