昭和の話

去る日曜日、BS/TVで美空ひばり特集が没後23回忌とし
て放映されていた。午後から夕方まで第一部、第二部と延
々CMなしで見たが、長年一緒にいる家族でも私にしては
珍しいと感心していた。

美空ひばりに関しては説明するまでもないので割愛するが、
私が小学校時代はラジオ放送主流で、黒柳徹子さんの出
ている「とんち教室」と美空ひばりの歌などは楽しみに聞い
ていたことを今でも鮮明に覚えている。

美空ひばりは8歳(1945年)で舞台デビューし、子どもらし
からぬ歌声で9歳には喉自慢に出たが鐘がならなかったと
いうのが伝説である。わたしの小学校時代も遊びのときは
日露戦争の勝利をもじった歌だったり、ラジオから聞こえて
くる彼女の歌であった。

わたし自身も年をとったせいか、先日はしみじみと懐かしく
過去に戻ったような気持ちであった。「悲しい酒」など涙なが
らに歌う彼女の歌唱力は天下一品に見事なのだが、いつも
誰のことを思いやっているのだろうと聴いている者の想像を
掻き立てるのである。

山口組との関係でNHKとのトラブルが原因だったのか、紅白
歌合戦に長きにわたり出場しなかった彼女は、頑なな戦後派
特有の人間で、戦後日本の経済成長を見据えながら人々に
歌を通して語りかけてきた姿勢を死ぬまで持ち続けてきたよう
である。