叱られないと人は育たない

luckycherrymame2010-01-14

今から40年程前の話だが、高校3年の時に田舎から東京の受験予備校の夏期講習を受けに上京したことがある。

当時は急行列車を使うと丸2日間くらい東京まで掛かったが、僅かな向学心と興味半分で夜学の学費を工面するために昼間は銀座で新聞配達のアルバイトをやった。

昨日は久しぶりに懐かしい記憶のある歌舞伎座の前を通ったのだが、今でも忘れていない出来事がひとつ印象深く残っている。

当時、歌舞伎座への新聞配達で親切な管理人のおじさんに建物の中や芝居を少しだけ見物させてもらった。

私もまだ17歳の若造だったが、楽屋まで新聞を配達した時に今はお亡くなりになった藤山寛美という有名な歌舞伎役者さんにいきなり怒鳴られたことがある。

その場では謝ったのだが、その時何が原因で叱られたのか記憶にないが、おそらく私の非常識に対して何かを教えて下さったのだろうと思う。

今でも忘れないということは、よく考えてみると明確ではないが私自身が今日まで抱いてきた人生経験の大事な糧にそんな事もなっているのではないかと考える。

現代は残念ながら子どもや若者を叱る大人たちはほとんどいなくなってしまったが、若年者には過ちを叱る人的環境がとても必要である。

若者に他人を思いやる親切心や向上心が欠けてきたと言われるのには、若年時に周囲からあまり親身に叱られて育ってこなかったことも一因だろう。

悪いことや非常識なことを若年者が行った時にはすぐさま周囲が叱らなければ本人も反省しないし、何が悪いか考えることが身につかないだろう。

周囲が無視の人間社会では若年者がまともな大人に育つはずがないと私は考えている。