余談

地下鉄による通勤から、久しく16年ぶりに東海道線で通勤するようになった。気が付いたことは、沿線の風景が工場や研究所らしい建物が、いくつものマンションへ様変わりしたことである。住居としてのマンションの数が、こうも周辺に年々増加してきたということは、周辺の居住人口が急増したことでもあろう。


近年、日本の多くの工場が円高により新興国へ移転したことは理解できるが、就業人口も第二次産業の製造業中心のブルーカラーから第三次産業のホワイトカラーへと、この20年で日本経済の推移とともに急速に変わってきたことが首都圏の住宅事情をみても大体の見当が付くようである。


首都圏の失業者が増加したのも、産業構造が完全に移り変わったにも拘らず、従来の仕事で食べていた多くの人が都会に定着してしまったからだと思う。地方が過疎化して、都会が人口増で失業者が多いのは、国が将来の産業政策を充分に考えて対策を打ってこなかったからだと思う。


もっと早くから教育改革をして次世代の人材育成を行っていれば、今のようなアンバランスの社会には少なくともならなかったのではないだろうか。学校を出た若者も、日本の産業界の将来に夢を感じなくなったので、安定した公務員志望が増えているのだろう。


もっと国家戦略として、新興国の発展に日本人が夢を持って寄与する意識を育てることが必要である。