AKB騒動に思う

昨日、AKB総選挙というのがファンの間で実施されて、引退した前田敦子さんという方の後を継いで大島優子さんという方が一位のファン獲得票を得たと、マスコミが報じていた。まさか、お堅いNHKのニュース番組でAKB総選挙の話題が取り上げられるとは驚いてしまったが、普段全く芸能関係に関心のない私もこのAKB総選挙という異常な現象にちょっと触れてみたいと思う。


昨日、テレビで初めて知ったことであるが、AKB48というアイドルグループのCD1枚につき一票の投票用紙が同封されており、それで投票するらしい。わざわざCDをそのためにたくさん購入するファンもいるらしく、投票用紙も家族とか知人に分け与えるのだと思われる。私のような芸能音痴のいいオッサンがAKB総選挙の話題にするのも恥ずかしいが、ちょっと視点を変えて考えてみたい。


このアイドルグループを世間に広めた総合プロデューサーは、放送作家でもあり作詞家でもある有名な秋元康氏であるが、考えるに、AKBファン人気投票としないでAKB総選挙としたことろに、現代の日本の政治を皮肉っているかのように見える。国会で決められた衆参の総選挙は、国民に対して半強制的に、よくわからない立候補者の中から決められた日時に選ぶように設定されている。


一方、AKB総選挙は、ファンが一人ひとりのメンバーを年間の活動を通じて観察し、熱心に選ぶようである。メンバーの誰もが上位を目指そうと日々懸命にしているところは、やや参議院議員の全国区選挙に似ているが、違うのは、政治は所属政党が選挙に勝つために有名人ばかりを立候補させるが、AKBは一般人の中から事前の厳しい面接等の審査基準を通して選ばれるらしい。


私が言いたいことは、日本の衆参総選挙も理想的な首相公選制をも、国会議員はAKB総選挙に学んだらどうかということである。不明朗な政治資金を集めるよりも、極端であるが、例えば国民が政治家自身の選挙公約を述べたCDを購入して、納得の上で同封の投票用紙で候補者のファン投票を事前にして選ぶとかいう方法はどうだろうか。


仮にCDでなくても、何か国民の大多数からの支持が明確になる投票ツールを新たに企画すれば、投票も少しは盛り上がりはしないだろうか。極端だが、才能ある秋元康氏に日本の選挙制度をつくるにあたって、リーダーになってもらい総合プロデュースをお願いしたらどうかと正直に思う。


今のような一部の国民しか投票しない総選挙は、本当の国民のための総選挙ではないと思う。今のままの選挙制度では民意が充分に反映されたとはいえないだろうし、いい国づくりになるとは考えられないような気がする。