グローバル経済

今年は英国エリザベス女王2世の即位60周年に当たり、さらに7月27日から8月12日まで、第30回オリンピック競技大会が首都ロンドンで開催される。ユーロ問題で揺れるヨーロッパ経済とは一概に無縁ともいえないが、イギリスは唯一ユーロに加盟しなかった国でもある。当時のブレアー政権の賢明な判断だったとも考えられる。


ECヨーロッパ経済共同体でヨーロッパ各国が経済的に連携しているときは良かったが、通貨まで共通化すると、国同士の経済力の格差が元々存在するので、次第にそれが財政力の開きにも飛び火するであろう、ということはおそらく予想されたはずである。世界景気が上昇していた当初は、ユーロ圏の結束がヨーロッパ経済を押し上げるだろうと考えられていた。


歯車が狂ったのはリーマンショックである。ユーロ圏の金融機関が大量の不良債権を抱えることになり、豊富な資金が回らなくなり、国家財政の厳しい国の経済が立ち行かなくなってきたのである。失われた20年といわれる日本経済も、平成バブル崩壊後、金融機関の破綻等で資金が市場に回らなくなり、企業倒産による不良債権が大量に発生し、その後日本経済は長期に低迷した。


現在は金融もグローバル化し、リーマンショック後の後遺症を治す手立てが、モグラ叩きの状態で世界中で見つからないというのが現状である。輸出主導で貿易黒字を積み重ねてきた、最大の債権国であった日本の姿も今はない。ユーロもドルも弱い一方に落ち着く限りは、輸出型の日本経済の前途は極めて厳しい。


良薬は口に逃がしであるが、財政再建をしない国は思い切ってユーロ圏から切り捨てないと、グローバル時代は健全な経済に資金は回らないだろう。日本も小手先の為替介入に頼らず、円高を逆手に海外投資への対策を政治が先導して講じるべきであろう。