人生の格差

GNH(Gross National Happiness)国民総幸福量とは、1972年に、ブータン国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが提唱した「国民全体の幸福度」を示す“尺度”です。最近、このブータン国のGNHが国連でも注目されてきています。おそらく世界中の国で、国民の幸福度が90%以上という国は、ブータン国を除いて存在しないと考えられます。


ブータン国民はコミュニティを大事にして、自分のことよりも他人を思いやることを優先して生きているようです。多くの国々はGNP(国民総生産)の拡大を目指して自国の富を確保してきたようですが、ブータン国は国民にとっての幸福とはということに、長年、各国の状況を見て研究してきたとのことです。


近代化を推進してきた各国と比較すれば、確かにブータン国は経済的に遅れている部分がありますが、日本が大阪万国博覧会で繁栄を謳歌しているときに、国のトップが人生の価値観は何かを考えて、この国民総幸福量であるGNHが提唱されたわけです。


実は先日、久し振りに親戚の見舞いに行ってきました。かつて大変お世話になった方ですが、7年前に脳内出血で自宅で倒れて、家族が別室で寝ていたために、気がつくのが遅く、状況は次第に悪化し、現在はグループホームのベッドで寝たきりで、身体全身がマヒ状態のままで過ごしています。


7年前は、60歳で公務員を退職し、悠々自適な人生のスタートを切ったばかりでした。健康管理ができていなかったのでしょうが、本人はもちろんですが、家族にも責任があったのではないかと哀れな姿を見るたびに後悔の気持ちでいっぱいです。


もう一人、親戚で在宅介護の日々を送っている方を見舞いに行ってきました。この方は49歳で脳梗塞で突然倒れて、今は70代ですが昔の面影はないほど痩せて髪の毛も白く、20年前までは酒豪で、世界一周のクルーズまでなされていた、親戚筋でも有名な北九州で活躍されていた会社経営者でした。


つまり、いくらお金持ちでも墓場までお金を持っていくことはできませんから、生活資金は困らない程度であればよいわけで、人生で一番大事なことは健康を管理して寝たきりを伴うような病気を防ぐことだと思います。同じ人の人生で、病に伏してベッドで寝たきりの人生を送っている方と、元気に余生を送っている方では雲泥の差があるような気がしてなりません。


その意味では、先進国の日本人よりブータン国の人々が幸せなのかもしれません。日本人も人生を如何に行くべきかを真剣によく考えるべきだと思います。