原発寄付金

昨夜、帰宅したら家内は既に眠りに就いており、大体いつものパターンだが、NHKテレビ放送が点けっぱなしで流れていた。一部始終の内容は見ていないが、ちょっと耳を傾けて大体、NHKの言わんとする報道の意図は推測はできた。かつて日本の高度成長時期には地方出身の実力国会議員は地元への公共事業の運び屋でもあった。


国は電源開発を推進する上で、地方の原発立地に多額の寄付金を用いて、地域住民の反対派を強制的に押さえ込み、市町村長まで原発建設推進に巻き込んでいった。国や東京電力は危険な原発施設を寄付金を餌に地方へ展開してきたことがわかる。今から40年くらい前の過去の出来事であるが、地方が暗黙のうちに電源開発の犠牲にされてきたと言える。


当時の関係者のインタビューの中に、「原発寄付金は貧乏県への恵み」「迷惑施設の代償」というような回顧の言葉が聞かれたのが非常に印象的だった。国は原発廃炉後の処理もあまり深く考えないで原発建設のみを推進してきたのだろうか。海外では建設前から廃炉後の地下への埋蔵まで計画されているが、日本国内では人体に害を及ぼす核廃棄物の処分にも頭を抱えているようである。


東日本大震災発生からもうじき丸1年を迎えるが、原発を今後どうするかの国の明確な意思表示は出ていない。東電からの損害賠償の支払いも、見込み額に対してまだ僅かしか進行していないのが現実である。被災者の立場のことを考えると本当にいたたまれない思いである。経済的な救済には一刻の猶予もないような気がする。