言うは易く行うは難し

ある紙面に日航の再建計画は既に前原氏の机の中にあったとの記事を見た。だから誰がやっても再建は可能だったというようなニューアンスに聞こえた。しかし、もし稲盛氏のような人物が陣頭指揮を発揮されなかったならば日航社員が苦汁を飲んで従わなかったであろうと私は思う。稲盛氏の存在があったからこそ日航のOBも仕方なく協力に応じたのだろう。


どんな立派な再建計画があっても、トップに立つ神のごとく崇拝される人材の存在が無ければ、計画を実行できるとは限らないということである。極端な言い方をすると、巨大な官僚組織の日航を再建を実行できるのは稲盛氏しか考えられなかったような気がする。盛和塾など入会したこともないし、稲盛氏から教えを請うたこともないが経営者としては稀有な存在である。


日航の再上場が取りざたされているが、おそらく株式市場ではストップ高の人気となることは間違いないだろう。稲盛氏のことだから、おそらく日航社員やOBの方には特別のねぎらいをされることだろうと思う。人は信頼し、尊敬に値する人材でなければ納得して従うことはしないはずである。メディアには、その真髄が理解されていない気がするのである。


「言うは易く行うは難し」で、事実上倒産した大企業の再建など世の凡人経営者に出来るわけがないというのが事実であろう。私はメディアも政治家も官僚も謙虚な姿勢で再建を果たした稲盛氏を賞賛すべきであると思う。