長幼の序

今、NHK大河ドラマで「平家物語」が放送されているが、公家社会での忠道と頼長の継承問題が発端となり保元平治の乱によって武家社会が力を持つようになるわけだが、徳川家康が三代将軍に病弱な長男の竹千代を次男の国松を下げて選んだのも「長幼の序」を重んじてのことである。


私たち現代人も徳川家康が公言した、この「長幼の序」の家訓について学ぶべきところがあるのではないだろうか。徳川時代という武家社会も秩序が厳格に守られてきたことにより和平が続いたともいえる。昨今、尊属殺人事件という重罪を意識しないような呆れる事件も頻発しているようである。


昔は兄弟姉妹の多い家族が普通だったが、皆、貧乏ながらも食べ物を分かち合うことを年長者から学んだ。近年は兄弟姉妹が少ないにも関わらず、年上が年下を思いやる気持ちや年上を敬う気持ちが欠けてきているような感じがする。戦前は「修身」という道徳教育の教材が存在したようだが、完全に無くさないで戦後教育の教材として改定すれば良かったのではないだろうか。


子どもの頃から古典にいそしむ習慣を児童教育に取り入れていれば、現代社会の人心の歪も解消できたのではないかと考える。私自身も幼い頃、なぜ兄に対してばかり物事が優先されるのか不満に思ったことがあるが、大人たちは家庭の平和を保つために「長幼の序」を重んじていたのだろうと考える。


現代社会でも児童教育の一環として、「長幼の序」を重んじる心を教えたほうがいいと思う。兄弟は他人の始まりとも言われるが、少なくとも兄弟姉妹が仲良く暮らしていければそれに越したことは無いのである。