家庭というもの

私の知人に一人娘を抱えた家庭人がいる。これまで一度だけ泊めていただいて家庭を拝見させていただいたことがあるが実に理想的な家庭に見えた。昨今、親子の仲がうまく行ってなかったり、夫婦関係にも問題があったりする家庭が多いように聞くが、知人の家庭は穏やかな温かみのある理想的なものである。想像するに、知人も子ども時代に素晴らしい家族に恵まれたのだろうと思う。つまり両親の生き方の正しい姿勢を見て子は育つので、子孫に与える影響は大ということである。


翻って、私の場合は小さいときから両親が家庭を放棄していたので、成人なっても見本としたい親の後姿を間近で見た経験を有してこなかった。他人の内側の世界は見ることができないので、未熟ながら子育ても見よう見まねで試行錯誤の連続だったと言えよう。今の自分であればもっと理想的な子育てが出来たかと思うのだが、「覆水盆に返らず」で取り返しがつかないのが現実である。しかし、親といえども他人から学ぼうという謙虚な姿勢で子育てに臨めば多少は良い方向へ進むと考えられる。


世間では一般的に男の子は母親寄りだと言われ、母親の命にはよく従うようであるが父親の思うようにならないことが多いとも聞く。昔はまったく逆で、家長である父親の威厳は物凄く、そして尊く、口ごたえの出来るものではなかった。今はどうしたものか父親の威厳というものが全くなくなってしまったようである。男尊女卑というかつての悪しき風習がなくなり、男女平等社会が実現したのはいいのだが、男があまりにも情けなくなってきたようにも覚える。


私の知人のお嬢さんは理想の男性が父親だそうで、中々世の中にはそういう理想の男性が見つからないようである。尊敬される父親像として認められる男性が今の世の中にどれだけいるだろうかと思うのだが、知人は確かに私から見ても納得できる人間性を備えた人である。男社会でもいろんな性格の人が存在するので人間性は千差万別だと考えるべきであろう。残念ながら私も道半ばの人間なので、知人から少しでもエキスを学べればと考えている。


人間性がどうのこうのと言っても始まらない、すべては家庭次第で理想的な子育てを皆が目指すべきだと思う。