回顧談

貧乏性と言うのか、自分には昔から人が仕事をしているときに休めない性分みたいなものがある。サラリーマン時代も同僚が休日に仕事をしていれば、落ち着いて休んでいるような気分にはなれなかった。月2回の完全な休日のみがゆっくり安心して休んだ気持ちになったことがある。


その後、途中で小さなIT企業に身を置くようになったが、入社して当初一番驚いてしまったことは休日があまりにも多かったこと、有給休暇は100%取得は当たり前、サービス残業を一切しない会社の体質だった。業界が違うと、こんなにも事情が異なるのかと長い間不思議な思いだったが、「郷に入れば郷に従う」ということで業界のあり方に従って生きてきた。


しかし、人間も「所変われば品変わる」ではないが、水のように易きに流れるものでIT業界の体質が快適だと自覚してしまった。その後、以前の某業界も日曜だけは完全に休めるようになったみたいだが、なかなか休日も取れない体質は今現在も変わらず、若手人材の定着も良くないと聞いている。


ただ最近気になることは、生活保護を受けても何ら気にしない若者や、傷病手当金を受けながら休職して過ごす若者が増えてきていることである。我々の世代では、有給休暇さえも仕事の都合で取れなかったが、若い頃はそれが当たり前だと思って働いてきた。


損得と言う感覚が、サービス残業をしても有給休暇を取得しなくても、無かったようである。会社は経費が浮いて儲かったのかもしれないが、若かった我々自身も会社に奉仕することで喜びや満足感や目標への達成感を分かち合えたような気がする。


楽をすると人生は成功しないと思う。若いときほど苦労したほうが将来のためになる、といってもどのくらいの人が本当に理解して頑張ってくれるくれるのだろうかと考える。しかし人間は言うようにはならないので、諸先輩である我々たちが小言を言う前に後ろ姿を見せるしかないと思う。