代表選の所感

あまりブログに政治的なものは書かないほうがいいとは思うのであるが、若い世代の読者に先輩として少しでも政治への関心を持ってもらいたいが故に一筆書かせて頂きたい。3日間という超短期の、国民にとっては予想もつかない民主党代表選挙ではあったが、最終結果は順当だったのではないかと考えている。

 私自身も野田氏が代表選に立候補したときに、人物がわからない人だという印象があったので穴馬的存在だと認識していた。政界や財界の中枢に顔を出していれば、その人なりの人物評価がもっとできるのであるが、ここでは私なりに評価してみたいと思う。

 大方の予想では国民の人気度もあり、前原氏が最有力だったかもしれないが、彼は直前まで出馬をためらっていた。理由は外国人献金問題で現政権の外相を辞任した経緯がある。まだ不信感が野党側にあり、おそらく野党もそこを強力に突いてくる可能性もあり、政権が揺さぶられることも考えられた。

 他方、年齢的に若いせいなのか人間性なのか、言葉に慎重さが足りない面があり、菅政権の中枢に居ながらにして公に批判するところがあった。野田氏はその点は感じられなかったので、姿勢が慎重で賢いというしかない。話は飛ぶが岡田幹事長も党側でありながら、菅政権を支えた人だと思う。民主党の弱点は一枚岩で政権を支えようとしないで、党内で足を引っ張る行動ばかりすることである。

 どんなに世評が菅政権を酷評しようと政権内部に居る者は親分を必死に支えようとするのが当たり前だと考える。それができない人間であれば将来、自らも周囲から支えられることはないと言ってよいだろう。私の知る限り、現閣僚の中に何人かは親分のことを公に批判する人は居なかった、当然当たり前だが、そういうふうに見えた。

 勝つには必ずそれなりの理由があるということである。わたしも理由を探るしかないのだが、野田氏は確かに真面目で慎重さがあり、内に秘めた闘志は相当大きなものを持ち合わせていると感じる。四半世紀街頭演説を続けていたことなど、政治家の基本姿勢として立派である。「政治家は上ではない」という謙虚さは、一番大切な心がけではないかと考える。新進党時代の落選経験で苦汁を飲んだ苦労人でもある。

 決して明るく口がうまい人には見えないし目立たないが、知る人ぞ知る人物に違いない。私もそう期待したい。まさか野田氏が決選投票の2位に上り詰めるとは予想に反したが、決選投票では逆転するだろうと考えていたので、結果を聞いて少し安堵した。もし海江田氏が勝っていたら政権が半年持っただろうかとわたしは思った。理由は与党がスムーズに協力しないからである。

 最後に、代表候補の鹿野氏はおそらく政権の中枢に座るだろうと思う。鹿野氏の鞍替えが決選投票の雌雄を決したとわたしは見ている。前原氏が一国の首相に付くにはまだ早いと、今回の選挙戦やこれまでの行動を見て感じた次第である。