日米経済の不可思議

 米国債の格付けを下げなかったムーディーズが日本国債の格付けを下げた。S&Pであれば米国債に引き続き日本国債の格付けを下げたというのであればシビアな格付け会社だという判断はできるが、ちょっと日本人としては驚きである。日本の国債も日本人が大半を有しているので、国民の金融資産と棒引きすれば償還も無難だとよく言われている。

 しかし果たして将来的に償還が可能なのであろうか、と誰もが考える不安要素がないとも断言できないのが現実的な見方だろう。かつて圧倒的な貿易収支の黒字国だった日本が、最近は貿易赤字というニュースが飛び込んでも何の疑問も抱かなくなってきている。貿易赤字が続けば外貨準備高も減るし、将来的には国力も次第に衰えていくだろう。国の台所が火の車で身動きが取れなくなれば、償還(借金返済)も困難になりかねないということだと思う。

 日本政府も政治家も、本日の日本国債格下げのニュースを真剣に受け止めて、今後の経済戦略の糧としてほしい。政権争いばかりが国民の目に映る昨今の政治家の動きに失望しているのは、母国日本を海外から見ている関係者のようである。世界一財政の悪化した国であることを肝に銘じてほしいと思う。もし貯蓄をしない国民であったなら、財政破綻ギリシアどころの騒ぎでないだろう。日本の場合、まだ企業に貯蓄があるからいいが、政治が信用できなければ国債の価値が下がるのは当たり前である。

 不思議なのは、あれほどリーマンショックで大企業が破綻を繰り返し、金融もズタズタになったのにも関わらず、NYダウが日経平均より早く回復しているのは何故かということである。円高、株安が日本経済の元気を無くしている現状を打破する意味でも、新政権には国難に対処すべく与野党の協力を得て頑張ってもらわなければならない。日米経済にどうしてこのような復活スピードの格差が生じるのか不思議である。