円高回避

急速な円高で国内製造業の先行きが懸念されています。考えてみれば円高は今に始まったわけではなくて、私たちが記憶している為替としては戦後復興として60年代の高度成長時代の1ドル=360円から、70年代に入りニクソンショックで308円、85年のプラザ合意で230円台から翌年120円へと日本の実力とともに進んできています。

 円高で象徴的な自動車会社もかつては輸出一辺倒で米国などから貿易摩擦で叩かれました。現在は世界各国に生産拠点を広げて為替差損をなるべく被らないよう調整していますが、現在のように急速に円高が進みますと製造業が新興国などに出て行かざるを得なくなってきます。産業の空洞化は以前から指摘されながら日本企業は生産の分離を図り、国内にコアの技術を残しながら海外展開を進めてきました。

 日本の製造業がガラパゴス化しないためにも、製造業は積極的に海外へ出て行き、海外市場で戦うべきだと考えます。国内はもっとスピーディに産業の構造改革を進め、国家主導で新産業の育成に力を注ぐべきだと思います。円高であれば円を海外投資に使い、日本資本の海外企業から消費財などを輸入すれば差損は避けられます。今後は、日本に外国人をもっと積極的に受け入れて国力を維持していく必要があります。

 為替介入は一時しのぎに過ぎないので、円高阻止の手法としてはあまりにも安易に感じます。もっと根本的に産業のあり方や日本経済の目指すべき方向を真剣に議論し、あらたな雇用創出を生み出す産業政策を実行に移していったほうが良いと思います。日本人が日本でのみ働く考えを捨てない限り、グローバル時代には生き残れないでしょう。