右往左往?

米国各付け会社S&Pの米国債格付けワンランク引き下げで、どうしてこのように世界は右往左往するのだろうと思う。世界市場が日本の景気復興を阻もうとしているのか?とも考えられるし、日本の当局にも”木を見て森を見ず”というような近視眼的な見方にだけはなってほしくない。

 アメリカ議会で国債発行限度額が決まらなければ政府はデフォルトも辞さないという危惧が、S&Pの格付け発表の判断にはあったのではないだろうか。アメリカ国民は、昔からドルは基軸通貨だという自負心があるので、貨幣が不足すればドルを刷ればいいという勝手な思いがあるので消費を貯蓄より優先してきた人たちである。

 日本人はお人好しなのか、自分を節制してまで貯蓄をして海外に貸し付けている国民である。国民性の違いはどうしようもないが、日本もそろそろ金融的立場でも中国政府のように自己主張して米国政府を批判するくらいの自身を持ってほしいものである。残念ながら軍事的にも米国の傘の下から独立できないので、金融経済も米国の影響下がこれからも続くような気がする。

 日経平均もニューヨークダウよりリーマンショック後の戻りが遅いのは、政府の経済政策や日銀の金融政策にも責任の一端があると思われるのである。為替が円高にシフトしているのも、EUも米国も経済情勢が良くないので日本の底力を先進国が警戒しているとも考えられる。しかし、世界は日本の強さを警戒しているだろうが、日本国内の実態は大変厳しい状況であることを日本人は自覚している。

 我々の視野も、世界から日本を観察するくらい広くなければ、これからのグローバル時代に勝ち残っていくことは困難だと思う。内向き加減で右往左往ばかりしていてはいけないというのが私の言わんとする結論である。