電力の総需要抑制

もう随分昔の話なので忘れてもいいのだが、今は亡き人で首相も務めた
かつての大物政治家の話を業界の集まりで聞いたことがある。

忘れもしないが、「この業界全体の売上は、まだパチンコ業界の売上より
低い、頑張って国に貢献してもらいたい」というような内容の話であった。

なぜ忘れないかというと、私たち自身が活躍しているIT業界とパチンコ業界とを単純に比較した弁舌を、堂々と大勢の関係者が聞いている場で、時の通産大臣(現経済産業大臣)ともあろう大物政治家が語ったことにショックを受けたからである。

おそらく業界で昔のその話のことなど覚えている人など1人もいないだろうが、私はその話を目の前で聞いて正直情けなくて悔しかったことを覚えている。

その後、円高で製造業は海外勢と対等に戦うことができなくなり、為替差損を回避するために重厚長大産業はこぞって海外への製造拠点の海外移転に踏み切ることになり、国内産業の空洞化が始まるのであるが・・・。

昨日、東京都知事選挙で4選を果たした石原氏が、「パチンコ屋と自動販
売機が一番電力を浪費している」と勝利宣言の勢いとともに演説していたが、パチンコ業界が日本経済にどれだけ寄与しているかを考えるべきである。

国内関連産業も多いことはわかるが、もっと輸出に寄与している産業を
電力削減の非常事態になったときにどうするかを真剣に考えなければ
ならない。

業界同士の比較は兎も角として、今産業として何を最優先すべきかを
考えたときに、石原氏の云わんとしている事には私も同感である。