子どもにあまり遺産は残さない

都会で生活している多くの団塊世代は、からだひとつで今日の資産をつくってきた。
 
しかし、そのジュニア世代は何の苦労もなく遺産を受け継いでいるのが現代社会の家族のしくみである。
 
農家や商売の後継ぎは家系の仕事だから理解できるが、単なる棚からぼた餅式に子どもに財産を譲ることはあまりよい結果を生んでいない。
 
この世に相続争いが絶えないのも、親の世代が遺産を残して子どもが自動的に相続する形態が普通だからである。
 
今、日本の社会で問題になっているのは、物質的に豊かな生活を送っているのに精神力が弱い子どもが増えていることである。
 
餌を与えてばかりで放牧しないので、自分で探し回って飢えをしのぐ力や様々な抵抗力が備わらないのが当たり前である。
 
そのようなことも想定しないで、親の世代が子どもに苦労をさせたくないと、幼少時からハングリー精神を育んでこなかったのが問題なのである。
 
たくましい子どもを育てるには、小さい時から困った時に親があまり経済的に手を差し伸べ過ぎない方がよいと思う。
 
ましてや成人してから、親に経済的に頼るのはご法度だという精神を子どものためにも植え付けていかねばならない。