(仮称)情報通信省

先日、回を重ねてきたあるシンポジウムでの話である。携帯電話の普及など、情報通信の世界でトップを走ってきた日本がいつの間にか海外勢の後塵を拝する状況になってしまった。原因は様々だろうが、ガラパゴス携帯と言われる所以も、日本国内でだけ通用して海外まで市場が広がらない製品となり、日本勢が気がつくと海外品が世界のメジャーと化しているのが現状である。


官僚も学者もシンポジウムで嘆いていたが、たまたま客席に質問を投げかけられたので、前部座席にいた私からも一言、折角の機会なので意見を言わせてもらった。「縦割りの官僚組織でITを考えるより、情報省をつくって予算をつけたほうがいいのでは・・・?」と。それに対して進行役の東大名誉教授が、政治の問題ですな・・・、政策提言となりますな・・・。というお返しが来た。


日本のエリート族も技術研究には自信を持っているが、マーケティングという考え方が日本に定着していないので、日本のICT技術は世界へのアピールも弱く、先行する新しい技術のディファクトスタンダードになりえない。やはり国がICT省庁をつくって経産省総務省国交省などから人材を集めて、横串の国家戦略をつくらないと、ITの輸入超過は未来永劫解消できないだろう。


土木や建築のように役人がIT・ICTの基本設計を行って、民間事業者がJVを組んで切磋琢磨して開発を競うようにして、世界中に日本独自のユニークな製品が排出されれば、米国シリコンバレーとも競う技術集団が日本にも生まれよう。兎に角、若者の雇用拡大のためにも、先進的なIT・ICT技術を国が養成する国家施策を打たなければならないと思う。