首相のテレビ登場

普段、マスコミの論調にばかり左右されている私も、昨日の民放に出演した時の総理、野田首相の話にはいろいろと見えるものが感じられた。たまたま予定してテレビのスイッチを回したわけではないが、突然、野田首相のインタビュー番組に鉢合わせたことは奇遇としか言えないくらいであった。


歴代の現役首相が、民放番組で堂々とインタビューを受ける場面が今まであっただろうか。自民党長期政権時代と違って、最近は閣僚もテレビに良く出るし、発言する機会が多い。しかし、内閣総理大臣が一人で民放番組で思いのたけを述べることは聞いたことがない。


これを機に、米国大統領のように日本の首相もNHKだけでなく民放テレビに直接出演して国民に直接に意志を訴えたらよいと思う。おそらく、これまでは政権与党の中の方針が「水と油で」定まらず、首相の考えも国民に分かりにくかった面がある。


政策がまとまらない党では与党としての機能を果たせない。揉め事の犠牲となるのは、いつも政治を議員に委ねる国民自身である。55年体制に飽き飽きしてきた国民は民主党政権に政治を委ねたが、慣れない政権運営のために国民は右往左往させられてきた。


党の分裂は避けられなかったと思う。もう権力争いをやっている時代ではないので、党の決め事に対して柔軟性のある姿勢をとれない政治家は、身分そのものを辞めたほうがいい。私自身は中間派という立場で、冷静に与野党の政策をいつも聞いているが、いきなり解散選挙があれば入れようがなく困るしかないのが現状である。


もっと党首討論を国会の場でばかりで行わないで、民放番組を通して実施したらどうかと正直に思うのである。昨日のような突然での現役首相のテレビ登場は、政府の政策理念が少しでも国民に理解が得られやすいと思うからである。閣僚の発言はテレビではいつも建前としか映らないので、首相の直々の考えを聞くことの重要性を国民は認識したのではないだろうか。