紛わしい派遣法

最近になって、漸く少子化対策とか年金問題に政治の目が向けられるようになったが、根本的な社会問題に至った要因は派遣法にあるような気がする。


昭和63年に施行された派遣法を、正社員のみの特定派遣法に限定すれば、非正規雇用のような不安定な労働形態も、かなり社会的に制限できただろうと思う。


本来は、法律施行後10年くらいで将来を見据えて、労働者保護の観点から見直すべきであったのだが、法律を一般と特定に分ける国民には分かりにくい制度を国は続けてしまった。


中小企業は、この一般国民に分かりにくい法律によって、人の採用にも影響が出て、面接時に不安定な登録型派遣と勘違いされて、二種類の違いを説明せざるをえなくて苦労させられた。


結婚できない、子どもが生めない、年金が払えないというような、多くの若年層が近年になって存在する、このような非正規労働の社会を形成した責任は政治にあると考える。


公職に就いている人たちは、派遣法のもとで働いている労働者の苦労や不安定な雇用を見過ごしながら、実態の解明と改善策に対して後ろ向きだったように感じる。