戦略の差

国内産業の今年度の業績見通しを見て中小企業経営者の端くれながら心に感じる部分は多い。ご承知のとおり、総合商社などは資源高等により最高益企業が並ぶが、裾野の広い大手家電業界などは1兆数千億の営業赤字計上を予想している。中でも円高、低価格による韓国企業などとの熾烈な競争の要因で、液晶関連の業績不振が目立っている。


端的にいうと製造業は全般的に超円高の影響で為替差損が響いていると思う。IT業界も大手メーカーの影響で価格低下が続き厳しい環境に晒されているが、よく見ると中小企業でも企業間格差が一段と激しくなってきたようである。国内の下請け体質の企業は大手の不況をもろに蒙るが、通信業界の技術変化に対応できている企業は比較的に業績好調である。


人も企業も技術の変化や多様化に対応し、すばやくスキル転換をできる技術者なり企業はまだいいが、大半の中小企業は既存市場の技術分野にぶら下がり続けてきたのが現状である。米国のIT業界のアップルやグーグルそして新機軸のフェイスブックの台頭を見ても、日本のIT業界は変化のスピードに遅れている印象を抱いている。


人も企業もすべて先を読む戦略の差が出ているのではないだろうか。技術はいずれ廃れるはずであるが、技術者が思い切りスキル転換しようとしないので、食えるマーケットは縮小するばかりである。もっと社外に出て、世の中の変化を技術者自身が膚で感じなければ多様化した時代に対応できなくなるだろうと考える。