黒船来航

今、国論を二分するようなTPP論争が続いている。差し迫ったAPEC(アジア太平洋経済共同体)で日本はTPPへの参加を意思表明するかしないかで与野党が揉めている。ちょうど幕末の黒船来航で鎖国派と開国派の対立の様相である。まだまだ国民の目にはTPPの行く末が具体的に見えないが、マスコミ自身もわかりやすく国民に説明すらしていないのではないだろうか。


官も農林省経産省が真っ向から対立し、民も農業団体、医師会と経団連などと会話が噛み合わないようである。幕末当時、もし開国していなければ鎖国が続いて明治維新の到来も交易の自由化も遅れたであろう。関税の撤廃は既存の利益団体がこれまでのように保護されないというリスクを生むが、将来の農業や医療を国際的に強くするためにもTPPへの参加はやむをえない気がする。


歴史的にみて、日本が通商政策において国際社会と距離をおくことがプラスだったとは決して言えない。世界との自由貿易で国を成長させようという気概なくして豊かさを維持することはできないと思われる。農業や医療も国内の規制に守られすぎているので日本の強みを発揮できないのではないだろうか。700%の関税に守られている米の生産のしくみは次世代に変えていかなければならないと考える。


農業の株式会社化と併せて、農地の流通を規制緩和により円滑化すれば参入者により競争が活発化し生産性や品質は向上すると思う。国土が狭いから海外勢と戦えないというならば、農業生産地を特区にして自給率の維持を図ればいい。日本の将来のために農業をつぶそうと考えている人はいないはずである。