業種

弊社も古くから存在するソフトウェア業界の1社だが、未だに世の中のさまざまな業務分野に分けられた統計資料を見ると、ソフトウェア業界という分類のあるものは少ない。たまには情報サービスとかITとか情報通信とか分けられているが、選びようがなくて困ることが今日まで多かった。

あまり世間に認知されていない業界なのかと不満を感じるが、表にでる業界ではなく黒子に徹した業界だからおそらく世間一般には目立たないのだろう。確かに開発したものを見せてくれといわれても困るし、開発現場を見せてくれといわれてもこれだと示せるものがない、見えないものをつくっている業界だから存在が薄いのかもしれない。

2、30年前は知る人ぞ知る業界で、具体的に何をするのかわからないで就職した業界の先輩たちも中にはいると思う。IT業界といってもハードからソフトまで設計・開発からサービス業務まで業種の中身が幅広い。日本国内では学生にとって人気業種かというと、アメリカや中国、インドでは輸出産業でもあり人気業種であるが日本では3Kとか言われて、大手メーカー系といえどもそれほどではない。

なぜなのだろうと思うが、日本には昔かられっきとした産業が存在して経済を牽引してきたから雇用もそこで吸収してこれた。ソフトウェア業界で新卒の採用が活発に行われてきたのは、各産業界で不況を機に採用を自粛していた時期である。新卒を積極的に採用してきたのも業界として認知度を上げてきた原因ではないかと思う。

ソフトウェア業界は今のところまだ内需産業である。国内の仕事を海外に依頼することは近年増えてきたが、海外の市場を開拓するのは大手といえども難しいと思われる。寧ろ海外のほうが技術力に勝ることが多いといわれているからである。最近は空洞化といわれて大手も海外へ発注して開発しようとしている傾向が強い。

業界としてこれから国内市場でどのように生き残っていくかが課題になるが、わたしは国内に留まって例えばマクドナルドのようにイノベーションを発揮してニーズを発掘し、新市場を創造して未知の領域を切り開いていくしかないと考えている。自らの柔軟な頭脳でアイデアとひらめきで人まねではないものつくりを志すべきだと思う。